アジャイル開発×UXUIデザインで価値を出す方法② | UXデザイナーに聞く
お待たせしました、UXデザイナーチームのメンバーにインタビューをしていく連載の第2弾です!
※この記事は2023年2月に執筆されました。記事内の情報は当時のものです。当社は2023年4月付で、EMCカンパニー、 メンバーズキャリアカンパニー、 メンバーズエッジカンパニー、ビジネスプラットフォームカンパニーの4カンパニーを統合し本部制を導入しています。
ちなみに第1弾はUIデザイナーの筆谷さんにお話を伺いました。
今回は私のUXデザインの師であり、現在メンバーズのUXデザイナーとして活躍している植木さんに、「アジャイル開発チームの中でUXデザイナーとしてどう価値を出しているのか」を中心に話をお伺いしました。
インタビュー内容
案件の概要
UXUIデザインの進め方について
デザイナーがスクラムチームとアジャイルに進めるには
下記に当てはまる方はぜひ読んで、ノウハウを参考にしてみてください!
アジャイル開発チームに参画しているUXUIデザイナー
UXUIに興味のあるエンジニア
メンバーズに興味のある方
案件の概要
まず最初に職種を教えてください!
UXデザイナーとしてアジャイル開発の案件に入っています。
案件での役割を教えてください
シニアUXデザイナーとして調査設計をしたりプロセスを考える役割をしています。
では次はチームについて教えてください。チーム全体では何人いますか
プロダクトオーナー(以下、PO)が1人、UXデザイナーが各2人、UIデザイナーが1人、エンジニアが6人です。
チームのメンバーはどれくらいアジャイル開発の経験値を持っていますか
入った時点ではすでに始まっていたので全員経験があったと思いますが、期間はそんなに長くないので浅い人が集まっていたと思います。
それぞれどのような役割を持っていますか
PO・・・支援先では位置付けとしては開発のトップです。作りたいもの自体は支援先の社長がプロダクトの方針や方向性を決めるので、それを受けてどういうふうな内容設計にするかを決めるのがこの案件でのPOの役目です。
エンジニア・・・そこで決まったものを作ります。
UXデザイナー・・・支援先の社長が持つこういうの作りたいという構想をPOと一緒に設計のプロセスに入って考えていきます。特にユーザー側のことはPOが開発出身の方なので、役割として考えていくようにしています。
UIデザイナー・・・POやUXデザイナーがこういうのあるといいよねと設計したものに対して形にして作ってくれるのが一つです。また、詳細を詰めていくことを役割として持っています。
プロジェクト全体の統括は誰がしていましたか
全体の統括はPOです。
UXUIの設計に関わる人はその中で誰ですか
UXデザイナーUIデザイナーはもちろんメインで関わっています。
また、POも決定権を持つ人として定例会議に出ていただくようにしています。
エンジニアは会議に出ているという意味では全員出ています。主体的に関わっているのは全員ではありません。
主体的に関わっているのはエンジニアの中でも二人くらいで、支援先、エッジそれぞれ1人ずつくらいです。
設計フェーズの統括は誰がしていましたか
意思決定はPOで、進行は私がやっています。
チーム以外に重要な役割を持っている人はいましたか
まず支援先の社長です。かなり重要です。
あとは業務システムを作っているので社内業務に関わる人のようなシステムを使う人たちとも話し合いながら作って行っています。
チームにどのような関わり方をしていますか
システムを使う人に関してはまず最初にインタビューして契約業務がどんなふうになっているかを聞いています。そして作っていく中でわからないことがあれば定期的に聞いたりしています。
メインで関わる課は週一回定例会をやっていて社長を含めて偉い人が集まってレビューしてもらったり、作る上での不明点、システム側からわからないことあれば話し合うようにしています。
どのようなFBで、それによる変更の大きさはどれくらいですか
意見を出してくれる方もいます。影響力は大きいです。
あとは作っているものを都度業務に問題あるか聞きながら進めています。
UXUIデザインの進め方について
案件開始時は新規プロダクトか既存プロダクトの新規機能か、既存機能かを教えてください
現状は既存プロダクトの拡張です。
プロダクトの開始時からチームに入っていましたか
プロダクトの開始時からではなく、新規プロダクトが終わって改善するタイミングでチームに入りました。
既存チームにUXのプロセスを浸透させていく上で工夫したことはありますか
そもそもUXデザイナーが必要ですと頼まれたわけではなく提案して入ったので必要だと思ってもらう必要がありました。
最初の1ヶ月でUXに関して何かしら成果を出さないといけないという状況で、短い期間でテストして改善するということを意識しました。
どういう風に成果を出して認識してもらいましたか
ユーザー調査をして既存プロダクトの課題点の洗い出しをして、1ヶ月くらいで方向性を出すところまでやって価値を認識していただけました。
植木さんがプロダクト設計に参加された時コンセプトは決定されていましたか
コンセプトはありました。
既存プロダクトがあってAという機能が実装されていて、社長が次にBCDEあたりやるぞといってPOがじゃあBからやりましょうと決める感じです。
ユーザーのモデリングはされていましたか
とくにされていませんでした。
B機能に誰が関わっているかを洗い出していくのを自分が主導してやっていました。
ユーザーのモデリングはどのようにされましたか
基本はデザインチームの人たちと進めて行っています。
インタビューした内容をmiroにまとめてPOに見せてすり合わせる感じで行いました。
ユーザー体験は定義どのようにしましたか
現状こうしてますというフローを整理して、それに対して作るものはどういうフローでやるかというのを自分主導で考えてPOに相談するやり方です。
重要なところや判断が難しいところはPOと相談してレビューを受けるイメージです。
情報設計はされていましたか
入った時は何もなかったです。
今もワイヤーフレーム作成は基本的になくて、いきなり画面から作成しています。
画面設計の主導はUIデザイナーが行っています。
ユーザーストーリーマップ作成プロセスにUIデザイナーも参加していて、機能としての記述もしているので、それをみて、UIデザイナーがこんな感じかなというのを作ってくれます。
それに対してPOと一緒にレビューをします。
UI(ビジュアルデザイン)の方向性は決定されていましたか
基本は元々ある機能ベースで作っています。
ただ、今回新しいツールも作ったのでそれはUIデザイナーが一発目に作ってきた画面が方向性になりました。
新しいツールはこちら側の提案でしたか
そうですね。支援先は業務が滞りなくできれば、一番いい方法を選んでくれて構わないという感じでした。
デザイナーがスクラムチームとアジャイルに進めるには
POとどのように認識を合わせていきましたか
会話です。定例会を週二回の2時間でしています。基本はその中で決めて行っています。
アプリやりましょうみたいな話も決まっていくし、ユーザーストーリーマップのようなものベースでその場で議論して決めています。
UIに関してもイメージ通りですね、みたいな感じですり合わせています。
アジャイル開発と一緒に進める上で苦労したことはありますか
開発スピードが優先の場合だったり、調査の方針が支援先によっては自社の顧客にインタビューしたくない場合だったりするとリクルーティングを工夫する必要があります。
また、今回は業務関係者がお忙しかったためテストの時間調整が大変でした。
デザイナー以外のメンバーにUXUIデザインの認識を合わせる・積極的に参加してもらうために何か工夫していることがあれば教えてください
まずは会議に出てもらい共有することです。
設計のチームが何をやっているのかがわかるとプロダクトバックログの背景がわかり開発がスムーズになります。
逆に設計プロセスの中にエンジニアの意見を取り入れるとかはもっと方法あるかもなと思っているため、今模索しています。
課題感としてあるのは、アジャイル開発とデザインを並行して進めるとスピードが合わないことです。
デザインが先行してエンジニアが開発間に合わない場合だとリストだけがどんどん溜まっていく状況になります。
逆にエンジニアの開発が早いと設計が間に合わない状態になります。
いいバランスを見つけていくことが課題です。
それ以外でUXデザイナーとして苦労した点はありますか
一緒に設計を進めておらず、かつ影響力が強いステークホルダーの存在です。
やはり最終フェーズで方針が変わると開発が大変になるので、できるだけ変更を抑えてこまめに確認をとりながら進めるようにしています。
ステークホルダーとうまく付き合う方法はありますか
広く意見を聞くというよりは、こちらからこれがいいですという提案を出して「合っている」とか「違う」っていうことを反映させるようにして、議論が発散したり毎回違うことをF/Bされることを防いでいます。
他にUXUIデザイナーとして案件でうまくいっているポイントはありますか
UIデザイナーの勘所がよくて、要件がある程度決まるとそれで画面イメージを作ってもらえるため設計プロセスが早く進めやすいなと感じます。
理想かはわからないですが、いいなと思います。
それくらいUIデザイナーもスキルが高いといいでしょうか
スキルの問題もあるかもしれないですが、「とりあえず作ります」と言ってやってくれる姿勢が助かっています。
あと、インタビューや設計の場にはすべてUIデザイナーもすべて同席してもらっているので、それも効果があるのかもしれません。
PGSチームとして、どのような価値をお客様に提供できたと思いますか
今の支援先の会社全体でスクラムを導入して進めようとされていますが、エッジが入ったチームはうまくいっているので提供できている大きな価値だと考えています。
また、UXデザインみたいな考え方も元々はなかったので、ユーザーの行動ベースにどういうものが必要か考えていくことをUXデザイナーが入ってやれたのもよかったと思います。
もっと価値を大きくするために、できそうなことはありますか
最終的に支援先の全部の開発プロセスがスクラム、アジャイルでやってうまく回るように支援していくことが価値を大きくできるところなのかなと思っています。
最後に
今回は、アジャイルチームで活躍するUXデザイナーの植木さんにお話を聞いてみました。
アジャイルにデザインプロセスを進行するために、かなり広い視点で支援されていることがわかりました。
次回はUXからUIまで手がけるデザイナーにインタビューしてみる予定です。お楽しみに!