クライアントは、受発注の関係を超えて、広告の内製化を共に目指す「仲間」です。
2024年4月に設立されたフォーアドカンパニー。立ち上げ以前から行ってきた「デジタル広告の内製化支援」に特化する形で、チームメンバーと一緒にカンパニーをスタートされています。インタビューでは、田中さんが大切にされている「仲間」「ワンチーム」というワードを切り口に、クライアントやチームメンバーとの関係性、今後目指すカンパニー像についても詳しく伺いました。
広告の内製化は、社会を大きく変える可能性を秘めたビジネス
フォーアドカンパニーを立ち上げる前は、ルーツカンパニーの一員としてクライアント企業のデジタル広告の内製化に取り組んでいました。当時、広告の内製化はメンバーズにとっても初めての取り組み。成果については正直手探りな部分もありましたが、実際には私たちが想像していたよりはるかに高い成果を出すことができて。クライアント企業はもちろん、メンバーズにとっても、クライアント企業のサービスを受けるエンドユーザーにとっても非常に価値のある取り組みだと確信し、事業として切り出す形で立ち上げに至りました。
今や、社会は「企業」と「消費者」が直接つながる形に大きくシフトしています。事業の中核がデジタルを使ったコミュニケーションに変わっている一方で、広告運用を行う企業の8割が代理店を活用している状況。分かりやすく言えば、営業を外部に委託しているような状況です。
本来であれば、自社のサービスをより理解している自社社員が運用した方が、サービスの魅力がより伝わるはずですし、代理店に支払う手数料を自社のリソースに充てることで、より質の高いサービスを消費者に届けることもできます。広告の内製化はマーケティングの内製化であり、社会そのものを変革する可能性を大いに秘めている。そういった意味で、事業として成長していく可能性は充分にあると考えています。
ちなみに広告内製化の動きについては、最近業界内でも少しずつ耳にするようになってきました。そんな中で、メンバーズ独自の強みはコンサルティングから実装までできる点。コンサル会社のように「戦略を考えるだけで終わり」ではない、というのもそうですが、例えば広告が改善されても、受け皿であるLPがまだまだであれば成果も上がっていきませんよね。そこに対して、他のカンパニーや本部と連携して必要なアセットを揃えられるのはメンバーズの大きな強みです。「お客さまのため」という視点で成果をしっかり追求できる、成果をお客さまと一緒に喜べる、という点は私たちのカンパニーならではだと思っています。
▼フォーアドカンパニーの広告内製化支援の事例はこちらからご覧ください!
お客さまとは、受発注の関係を超えて「ワンチーム」に
もう一つ、フォーアドカンパニーならではと言えば、お客さまとの関係性です。広告領域を入り口にして、実際には幅広く内製の支援を行っているので、普段は私たちがクライアント企業のチームの中に入らせてもらっているような状態。毎朝の朝会にも参加しますし、業務も同じものを一緒に行います。メンバーズには、「あたかもクライアント企業の一社員であるかのように、お客様のことを深く理解する」という意味で使う「あたかも社員」という言葉がありますが、それで言うと私たちは「もはや社員」くらいの感覚ですね。
「ワンチーム」を目指しているのには、大きな理由があります。それは、同じ目線で目標を追いかけ、お互いに高め合えるチームを作るため。カンパニーのバリューにも「受発注を超えたチームビルディング」という言葉を掲げているのですが、「受注側/発注側」の関係だとどうしても上下ができてしまうんですよね。発言を遠慮したり、言うべきところで指摘できなかったりすると、チームとしてはうまく回っていきません。
その点、私たちのお客さまは忖度なく、良いところはすごく褒めてくれますし、例えば「こういうところを直してもらわないと、ここから先の契約は難しい」といったことも正直に教えてくれます。往々にして、そう言うことを伝えてもらえずに契約が先細りするケースもある中で、「改善して、その上で一緒にやっていきたい」という思いを持っていただいているのはありがたいですし、日ごろから一つのチームとして仕事ができているおかげかなとも思っています。
コミュニケーションの「濃さ」が、信頼の深さにつながる
お客さまと信頼を築く上で大切にしているのは、何よりまず成果にコミットすること。私たちにご相談をいただいたからには、お客さまが期待するもの、もしくはそれ以上のものを提供することを第一に考えています。
それともう一つは、コミュニケーションです。先ほどの朝会に出る話もそうですが、オンライン・オフライン問わずコミュニケーションの数は大切にしています。飲みに行く回数も、メンバーとよりもお客さまとご一緒することの方が多いですね。
これにはきちんと目的があって、やはり仕事以外の場でしか聞けない話というのもたくさんあると思うんです。それがお客さまとなれば尚さらです。職場以外の一面を知ることは業務にとってもプラスですし、回数を重ねるとだんだん戦友のような間柄になってくるんですよね。
職場であまり接点のない方と話すことで、新たな視点を得られることもあります。以前あるクライアント企業の役員の方と会食をした時には、経営視点からのお話をきっかけに、その後現場でオウンドメディアの運用が決まったこともありました。もちろんこれを全員にやってほしいということではありませんよ。ただ私にとっては、今後も大切にしていきたいコミュニケーション手段の一つです。
メンバーとは、お互いの凹凸を補い合い、高め合える最強のチームに
カンパニーには現在11名のクリエイターが在籍しています。全員が前身のルーツカンパニー時代から一緒にやっているメンバーなので、何でも相談してくれますし、関係性はとてもフラットです。全員お客さまに対する思いが強く、同じベクトルに向かっているという意味でもまとまりは良いですね。
チームはプロジェクトごとに毎回組んでいますが、そこでのメンバーの成長も私としては嬉しい点です。というのも私、見ての通り第一印象が良くないんですよ…。お客さまからは「本当にちゃんとできるのか?」という印象を最初に持たれがちです。ところが実際にチームが稼働すると非常に優秀なので、「やっぱりメンバーズに依頼して良かった!」とお客さまのイメージがマイナスから一気にプラスに引き上がります。そこでまず一段階チームが結束します。チームとしてまとまるために、マイナススタートのプロセスが毎回組み込まれているんですよね(笑)。
私もそうですが、個人でできることなんてたかが知れていて、チームで成し遂げられる成果の方がその何倍も大きいと思っています。それぞれの得意・不得意を補い合い、お互いを引き上げながら、チームとして提供できるものを最大化させていく。そんな最強のチームを作っていきたいという思いが今は強いですね。
なぜかというと、フォーアドカンパニーを立ち上げた時に、当時一緒に仕事をしていたメンバー全員が私についてきてくれたからです。当時は新しいカンパニーを立ち上げたら、一人で仕事を始めるものと思っていました。だからこそ、当時のクライアントも含めてチームメンバーが「引き続き一緒にやっていきたい」と思ってくれたのは非常に嬉しかったですね。その気持ちに応えるためにも、一人ひとりが個性やスキルを最大限発揮できる環境にしていきたいんです。社内外含めて一緒に仕事をしたいカンパニーであり続けたいと思っています。
新しい仲間に求めるのは、「お客さまのために」という強い思い
チームとしてできることを増やしていくためにも、今後は採用活動にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。
求めることとしては、第一にカンパニーが掲げるビジョンへの共感です。私たちがやっていることは、広告運用からさらに踏み込んだ「広告の内製化ビジネス」。私たちだけで完結できることではなく、「クライアント企業と一緒に」という所がマストです。多くの人を巻き込む分、良い意味で難易度の高いチャレンジになりますし、難易度が高いからこそ社会に与えるインパクトも大きくなります。仕事を通じて社会に影響力を与えたい、という方には親和性の高い環境だと思います。
もう一つは、お客さまに対する想いですね。純粋にお客さまが好きな方や、カスタマーサクセスについて真剣に考えることができる方に来ていただきたいです。
もともと広告運用に携わっている方は、そこへの意識はとても高いと思っています。ただ、例えば管理画面上の数字しか追えなかったり、コミットする事業が限られていたりすると、優秀な人ほどより高い価値を求めて疲弊していく…という傾向もあると思っていて。その点、私たちは事業会社と同等の裁量を持ちながら、一社に閉じることなく様々な会社に携わることもできる。事業会社とベンダー、両方の良さを持つ強みを活かして、そんな方にもう一つ新たなフィールドを与えられたらとも思っているんです。
仕事面・スキル面を問わず、「現状を変えたい」という方にとっては、裁量もあり、挑戦できる文化もあるフォーアドカンパニーはすごく良い環境だと思います。広告運用にとどまらず、クライアント企業のビジネスパートナーとなって思う存分力を発揮してもらえたら嬉しいですね。私自身も、カンパニービジョンの達成に向けて全力を尽くします。一緒に頑張っていきましょう!
編集後記
新卒でWebデザイナーとして仕事を始め、ディレクター、プロデューサーとキャリアを築いてきたという田中さん。「技術の進歩が早い業界では、自分が持っている知識だけで戦おうとすると行き詰まる。クライアント企業の課題に合わせ、最適解をきちんと提示できる人・組織であることに価値がある」という思いを自身の経験からずっと持ってきたそうです。フォーアドカンパニーは、まさにその思いが体現されているという印象。成果にコミットするからこそ、組織としての一体感が増し、お互いにスキルを高めあうことができる。そんな好循環が垣間見えた取材となりました。
取材・文/増田 雅美
写真/谷貝 玲