「開発への理解度が高いPMになる」。目指すキャリアが見つかったのも、ここで尊敬できる仲間に出会えたおかげです。
地元のシステム会社で経験を積んだ後、「よりアクティブな環境で、多様なスキルセットを持つ人たちと働きたい」とメンバーズに入社した宮本さん。入社から2年が経ち、メンバーズの「人」や「環境」は宮本さんにどう映っているのでしょうか。入社以来携わってきたプロジェクトを完了し、次のプロジェクトへとステップアップする節目のタイミングで、宮本さんから見るメンバーズならではの環境やカルチャー、また今後の目標についても語っていただきました。
ニーズの高さに惹かれ、営業からエンジニアへ
大学卒業後は、営業会社で様々な商材の提案に携わっていました。クライアントが求めていることは何か、自分なりに試行錯誤しながら提案を行ってきた経験は、思い返せば今の仕事にも通じるところがありますね。6年ほど在籍し、管理者としてマネジメントに携わる頃には部署の売上も社員数も大きく伸びて、まさに組織が急成長する過渡期を経験できた期間でもありました。
そこからエンジニアに転向したのは、29歳の時です。営業として自信がついてきた頃でもありましたが、同時期に周りから「宮本さん友達多いから、誰かエンジニアの知り合いいない?」と聞かれることも増えていて、ITエンジニアの需要の高さも肌で感じていたんです。もともと音楽など「作る」作業が好きだったことや、異業種で働いてみたいという興味もあり、自社サービスを手がけるシステム会社に入社しました。
最初の1年はコーディングを中心に、現場の方から本当にたくさんのことを教えてもらいました。会社でWebシステムを作る話が出た時も、「SaaSやってみたいです!」と自ら手を挙げて教えてもらって。社長をはじめ、社員の方々も温かい方が多く、仕事は大変でしたけどすごく楽しかったですね。
その一方で、物足りなさも正直感じていました。実はコロナ禍をきっかけに、企業のオンライン面接ツールの企画・開発を1年ほどかけて行ったことがあったのですが、このような新規事業は社内でもレアケース。どちらかといえば保守的な社風で、「もっとこうしたらどうか?」と提案する僕のようなタイプは少数派でした。もっとアクティブな環境で働いてみたいという気持ちが徐々に強くなり、社長にも事情を正直にお話しして、新たな環境に挑戦することにしたんです。
よりチャレンジングな環境で、自分の強みを見つけたい
メンバーズには前職の同僚が先に入社していて、その方からの紹介で入社しました。前の会社にいた頃からよくお話をさせてもらっていた流れで、「宮本さんに合うと思う!」と声をかけていただいたのがきっかけです。
メンバーズの人や環境に魅力を感じたことも大きな理由です。組織の規模からも、エンジニアの人数が多く、レベルの高い方がたくさんいる印象がありました。特にトップ層は日本でも有数のエンジニア。その方たちが普段どんなことを考えて仕事をしているか、近くで学びたいという興味が強くありました。また、たくさんの人の中に身を置くことで、自分の良さを客観的に見つめ直したいという思いもありましたね。
最終的な決め手は、プロジェクトの規模の大きさです。僕自身、前職で「作る」仕事の楽しさを学び、自分に合っていそうだという実感を得られたタイミングでもあったので、今度はもっと大きな価値を創出できるものに挑戦したい、という思いから入社を決意しました。
プロジェクト先で任された「チームビルディング」という新たな挑戦
入社後は、新電力事業を手がけるベンチャー企業で、主にSaaSの開発支援に携わってきました。ちょうど2年間の担当期間が今月(取材時)で完了するところです。
もともとは実装担当としてプロジェクトに入ったのですが、最初の1週間の僕の動きを見た管理者の方から、「こっちをやってほしい」と任せてもらったのがチームビルディング。当時、現場では実装よりもチームワークの活性化に課題があったこと、また同時期にメンバーズ社内でもアカウントリーダーというポジションができたこともあり、徐々にマネジメント寄りに役割がシフトしていきました。
具体的に取り組んでいたのは、実装を毎日円滑に行うための環境づくりです。家を建てる場面に例えると分かりやすいと思うのですが、「こんな家を建てたい」というお客様と、大工さんの二人だけでは、現場はなかなかスムーズに回りません。お客様の頭の中にあるニュアンスを、こんな広さで、こんな間取りで、この素材を使って…と具体的に落とし込んだ上で現場に渡さなければ、作った後に「思っていたのと違う」「やっぱりこの壁取って」といったすれ違いが起きてしまう。こういったことは、システム開発の現場でも起きがちだと思うんです。
特にこのクライアント企業は、理念が強い分、すれ違いが起きやすいという課題がありました。クライアントの意向が思うように伝わらない、スーパーエンジニアたちの技術力も活かしきれていない、というどちらにとっても良くない状況を、自分が架け橋となることで改善を目指していきました。
ゴールを共有し、協働する。それが良いシステムを作る第一歩
業務の中で、特に意識していたのは「透明性」です。新しいシステムで誰が何をできるようになるのか、その中のどこに取り組んでいて、何に向かっているのかを、開発側もクライアント側もきちんと把握できるようコミュニケーションには特に気をくばっていました。
開発側に対して行っていたのは、主に目標設定です。完成までのフェーズを1、2、3と分け、1ではここまで、2ではここまで…とリリース目標を決めて各チームに共有しました。そうすることで、それぞれの役割や目標も具体的になりますし、何より見通しが立つ安心感も共有できると思います。チームを作るためには、まず目標を一致させること。営業組織のマネジメントをしていた経験も活かしながら、現場がスムーズに動ける環境づくりを心がけました。
クライアントに対しても、こまめな共有を大切にしました。というのもシステムというのは、完成まで現場が何をしているか、どうしても見えにくい側面があると思うんです。その間、何の報告や相談もないと、開発側との距離も遠くなってしまう。逆に、作ったものを毎週チェックしてもらい、そこでもらったフィードバックをすぐに反映して…というやりとりを続けると、クライアントには現場の動きが伝わりますし、現場にも反響が届きやすくなります。クライアントには「作ったものをどんどん褒めてください!」と伝えるようにもしていました。
クライアントの声が届くことで、開発側はさらにアクティブに提案できるようになる。それを受けて、クライアントもどんどん相談してくれるようになる。立場の異なる人たちが、同じ方向を向いて協力し合える環境を、僕が間に入りながら全員で作っていった期間でもありました。
そうして地道に取り組んだ結果がメンバーズ社内でも評価され、今年の社内表彰で個人・チーム共に賞を受賞することができたのも嬉しかったですね。新規開発のタイミングでプロジェクトに入り、売上が150%伸びたこと、クライアント企業の脱炭素への取り組みがメンバーズの目指すところにフィットしていたことなど「運」の部分も大きいのですが、クライアント企業やチームの成果を全社に伝えられたこと、また個人的にも、経験の長さに関わらず評価いただけたことが大きな自信になりました。
この2年で、知識も、思考の幅も格段に広がった
入社後から今までを振り返ると、転職時に思い描いた希望は概ね叶ったと感じています。特に技術に関しては、この2年でものすごく吸収できましたね。同じチームに、会社で5本指に入るスーパーエンジニアがいて、今まで触れてこなかった技術も色々と教えてもらうことができました。普段の業務でもやりたいことに対する手段が格段に増えた実感があります。
一方で、「職種や環境が変わっても、仕事の本質は変わらない」ということも、エンジニアとして仕事をする中で改めて感じています。営業時代なら全てのお客様に、今であれば目の前のクライアントにいかに喜んでいただくか。「想像以上のものができた」と喜んでいただくためにできることをしたい、という思いが今回のプロジェクトを経てさらに強くなりました。
コミュニケーション力を活かし、開発側にもクライアントにも感謝されるPMに
プロジェクトを通じて、今後のキャリアも少しずつ見えてきました。それが「開発への理解度が高いPM」を目指すことです。
「開発への理解がある」とは、「開発を始める上で、開発者に求められるタスクの単位を理解している」ということ。先ほどの家づくりの話にも通じますが、開発に必要な情報が揃わないままタスクを渡されるケースは現場でもまだまだ多いと感じています。一方で、システムの目的や工程を具体的に落とし込んで渡すことができれば、すぐに実装を始められるだけでなく、工数や納期も見積りやすくなる。僕が実現したいのは、この「架け橋」の役割です。開発側からも感謝されて、もちろんクライアントからも喜んでいただける、そんなPMを目指したいですね。
この目標が見えたのも、2年間のプロジェクトを経験し、「自分は実装するより、こちらの方が影響力を発揮できそうだ」と実感できたから。もっと言うと、メンバーズに来たからだと思っています。技術的にとても敵わない、尊敬できる方たちと一緒に働く中で、「自分はこれをやったら喜ばれる」というポイントを見つけられたのは大きなことでした。メンバーズ社内でもPMを増やす動きがあると聞いているので、自分がPMのロールモデルを作れたらという思いもあります。
実は次のプロジェクトは、このロールモデルの確立を目指してアサインされることになっています。今までよりも規模の大きな新規開発で、業界的にも高いコミュニケーション力が求められると言われています。新たな場所でも、クライアントにきちんと価値を提供し続けていくことが当面の目標。成果をしっかり形にした上で、今後のキャリアに繋げていければと思っています。
編集後記
営業時代には管理者として活躍し、前職では新規システムを企画・開発。メンバーズでは複数の賞を受賞…と、一見、何でもできてしまうように見える宮本さん。インタビュー時、「器用なタイプではないです」と仰っていたことが初めは意外でしたが、お話を伺う中で見えてきたのは、人一倍の努力と行動力でした。「まずはやってみる」「結果が出るまでやり切る」。さらりと発しているようで、確かな決意を感じる言葉の数々から、仕事やクライアントに対する真摯な姿勢を感じることができました。
取材・文/増田 雅美
写真/谷貝 玲