社員が大阪にオフィスを設立した話
メンバーズでは、社員(メンバー)を経営の主体として位置付ける「全員参加型経営」を推進しています。2023年10月に開設した大阪オフィスも、ある社員の起案により実現しました。
オフィス立ち上げの経緯や想いを、発起人である熊本さんにお聞きしました。
大阪オフィス立ち上げの経緯
-メンバーズには地方拠点がたくさんあるのでしょうか?
メンバーズには現在8ヶ所の地方拠点があります。(首都圏の拠点を除く)
東日本大震災の復興支援の一環として立ちあがった仙台オフィスを皮切りに、北九州・鯖江・神戸・札幌と地方拠点を開設してきました。
-社員のアイディアでオフィスの立ち上げができるんですね?
大阪オフィスは現在拠点長を務める私が中心となり、立ち上げを進めていきました。
メンバーズでは、カンパニー設立をはじめ社員の声により様々なことが実現されてきました。その中でも社員が発端となったオフィス開設は初めての試みです。
-いろいろな人を巻き込んで会社を動かしていくのは大変だったのでは?
前例のないことなので、様々な人に協力してもらいながら起案に臨みました。
立ち上げをフォローしてくれた方々の多くは同じ部署ではなく、また日頃から一緒に仕事をしていたわけでもありませんでした。チャレンジに際して惜しまず手を貸していただいたおかげで、想像していたよりもスムーズに話が進みました。
これまで社内で築いてきた人間関係のおかげでもあるので、様々な場に積極的に顔を出してよかったなと思います。
きっかけは、社内の研修のプログラムの中で、拠点の設立についてプランニングしてプレゼンしたことでした。プレゼンを聞いていた役員のみなさんが、「ぜひ本格的に経営会議で起案してみたら?」と背中を押してくれたのです。
経営陣への起案は初めてだったのですが、声をかけてくれた役員の塚本さん、武田さんをはじめバックオフィス責任者の米澤さんや現場本部長の永松さんなど多くの人にアイデアの壁打ち相手になってもらい、FBをもらいながら、起案の内容を深めることができました。
経営会議で自身でプレゼンをする機会ももらい、経営陣の皆さんから新しい目線やポジティブなフィードバックをいただくことができました。
結果、正式に承認され大阪オフィスの設立に至ります。
大阪オフィス立ち上げの想い
-なぜ大阪にオフィスを立ち上げようと思ったのですか?
東京だけではなく地方でも成長し、活躍できる場を作っていきたいという想いが元々根底にあった中で、ビジネス目線での機会の重なりもあり大阪オフィス立ち上げの構想が始まりました。
-もう少し詳しく教えてください。
起案した当時私は神戸拠点に所属しており、大阪のクライアント企業のアカウントマネージャーとして業務に従事していました。
そのクライアントへの支援は大きく分けてクライアントオフィスへの常駐と神戸拠点での2体制で行っており、神戸拠点とクライアントオフィスの物理的な距離感がマネジメントの課題の一つになっていました。
また、大阪を中心とした関西圏の企業から常駐型のご支援サービスに興味を示していただき引き合いをいただく機会も増えていました。それらを踏まえて、関西の中核である大阪に拠点を立て、より地域に根付いた組織づくりを行うことができれば、関西圏の企業のビジネス課題解決に寄与していけるのではと考えたのです。
今までの地方拠点の文脈とは違う色を持った、新たに成長できる地方拠点になるのではとも考えました。私個人として、お客様と顔を合わせて近くで仕事をさせてもらえる環境が最も成長につながると考えています。
そういった環境は大企業が集中する東京圏にしかありませんでしたが、大阪であれば同等の環境を作ることができ、より成長していける拠点になると思います。
-具体的にどのような経験からそう感じるようになったのでしょうか。
私は地方の高専出身で、入社時はコーダーとして東京配属となりました。
当時の案件は地方拠点にいるメンバーと東京にいるメンバーで構成されており、リモートでのコミュニケーションがメインでした。
当初こそコーダーとして開発業務に従事していましたが、東京でクライアントに近い土地柄だったこともあり、徐々にディレクターにジョブチェンジしフロントに立つ役割に変わっていきました。
お客さまのご希望や課題感から検討したプランをもとに地方の制作メンバーにクリエイティブを制作してもらい、彼らの代わりに案件の代表として説明や提案を行うことが主な役割です。
制作メンバーと頭を悩ませて必死に作ったクリエイティブに対して良い評価をいただけることが何よりの喜びでした。お客さまに喜んでいただけることもそうですし、自分を媒介に制作メンバーが評価されることにディレクターとしてやりがいを感じていました。
もちろん良い評価ばかりではありませんでしたが、酸いも甘いも経験できたあの時間が、お客様の近くで仕事をすることで成長に繋がると考えるようになった原体験です。
その一方で、課題も感じるようになりました。
地方に所属しているメンバーが評価される機会の少なさです。
地方で制作できるメンバーがいるからこそ良いものづくりができ、成果が出てその対価をいただく。それがメンバーズの価値の源泉であるはずなのに、お客さまから直接ポジティブなFBを受けづらかったり、自己主張が苦手で自己評価がなかなか高まらなかったりもどかしさを感じていました。
その感情を持ったのには、3つの要素が大きく影響しています。自身がもともと地方出身であったこと、コーダーであったこと、それから東京配属でクリエイターとしてお客さまの近くで成長させてもらえたと感じていることです。
質の高いアウトプットを求められ、それに答え続けることの大変さを肌で感じていたからこそ、そこに向き合っている制作メンバーの頑張りと評価のギャップを強く感じていました。
-今後、大阪オフィスをどのような拠点にしていきたいですか?
2023年10月に大阪オフィスを開設してから、約半年になります。お客さまからは、「もっと大阪に来てほしい」「チームとして常駐してほしい」といったうれしい声をいただいています。クリエイターが東京に負けないくらいイキイキと活躍できる拠点を目指していきたいですね。
大阪で頑張るクリエイター同士が帰属意識を持って働けるように、仲間たちと一緒に盛り上げていきます。
編集後記
熊本さんからお話を聞き、クリエイターが輝ける拠点運営をしていきたいという想いがヒシヒシと伝わってきました。
メンバーズの全員参加型経営はオフィス立ち上げに関わらず、様々な場面で感じることがあります。
私自身も役員とのちょっとした雑談の中で「起案してみたら?」といったワードを言われたことがあります。
起案という言葉を身近に感じる反面、実際に起案して形にしていくにはとても大変な道のりです。
強い思いと周りを巻き込んで動いていく推進力も求められます。
社員の起案によって地方拠点が設立されたことで、メンバーズ社内に「全員参加型経営」が浸透していることを実感することができました。
取材・文/谷貝 玲