UXに理解があり、頼りにしてくれる。そんなクライアントだからこそ、本気でUXデザインに取り組めます。
「デザインのチカラってすごい」というお客さまの言葉に感銘を受けたという新倉さん。新規ビジネス創出に向けて伴走していけることにやりがいを感じているそうです。メンバーズでどんな仕事をしているのか、どんな未来を描いているのか、お話を伺いました。
ライフスタイルが変化しても活躍できる環境を求めて転職。
前職は美容系の業界紙やフリーペーパーを作るデザイン制作会社で、プロデューサー職として営業からプロジェクトマネジメント業務を担当していました。チームというよりは個人商店のような感じで、売上をあげてプロジェクトを回すことができていれば自由にやらせてくれる環境でした。
転職を考えたのは30歳手前のころ。当時「女性は30歳までに転職しないと」という考えがあったことから、将来のキャリアを考えたことがきっかけです。前職はグラフィックやイベントの仕事が多く、この先グラフィックは伸びないだろうという考えもありました。
Webや映像系など様々な会社の求人を探しましたが、たくさんの会社の中でもメンバーズは女性が働きやすそうな制度が整っていると感じました。特に決め手となったのは、転職エージェントさんの言葉です。エージェントさんが紹介してくれた求人の中にメンバーズはなかったのですが、「メンバーズは働きやすくて良い会社だと思います」とお勧めしてくれたのです。自分にとって得にならないのに、それでも勧めてくれる会社は絶対良い会社だろうと思って選びました。また社内で自分と歳が変わらない方が大きな部署を統括されているなど、裁量を持って働けることも魅力的に映りました。
お客さまと共に、一からビジネスをつくりあげる面白さを実感。
現在私はクライアント企業の新規ビジネス開発の部署で、デザインチームのリーダーとしてビジネス開発の支援やデザイン文化の醸成と浸透を行なっています。クライアント企業の試験研究として進行しているプロジェクトのサービスデザイン、リサーチ、プロダクトデザイン、モックアップ、ビジュアルデザインなどのデザイン面をサポートし、事業化へのスピードを加速させることです。
現在取り組んでいるプロジェクトの一つに「生成AIでクライアント事業の業務負荷を軽減させる」というものがあります。まず私はクライアント事業の業務を理解する必要があると考えました。この『ユーザーを正しく理解したい』『ユーザーに寄り添ったプロダクトを創りたい』という考えがとてもお客さまに響いたようで、その後のユーザーテストやインタビューも一緒に担当してくれて、共同で業務の可視化を行なうことができました。
その後も2〜3個の案件をご一緒させてもらっています。来社された方にクライアント企業の事業内容について紹介する資料の作成も担当していたのですが、その際も「見せ方ひとつでこんなに変わるんだ」と驚かれたこともありました。
クライアントのチームはビジネス企画に長けている方や技術研究のエンジニアの方で構成されています。もともとは「まず技術で実現可能なのかを考える。そこからある程度物を作ってみて、ビジネスとしてやっていけると判断したら、その後デザインがついてくる」という考えだったそうです。それが私たちデザインチームが参画したことによって、ユーザーを正しく理解することの大切さを理解してくださり、「企画段階からデザイナー視点を入れて企画したほうがいい」という考え方に変化していきました。
印象的だったのは、お客さまから「デザインのチカラってすごいんだね」という言葉をいただいたこと。よく「「この」デザインすごいね」って褒めてくれるお客さまはいるのですが、「デザインそのものがもつチカラ」を褒めてもらったのは初めての経験でした。大きな影響を与えていることが分かり、うれしく思いました。
UXに理解があるお客さまと仕事ができる。
日本ではUXデザインの概念は一般的になってきており、その重要性を理解されている企業も増えています。しかし、そのプロセスを業務に組み込み浸透させている企業はまだまだ少ないのが現状ではないでしょうか。プロジェクトの中で、デザイン文化を組織に浸透させるために苦労されている方の姿もよく見ています。
でも今一緒に仕事しているお客さまは「なにかあったらデザインチームに相談しなさい」とほかのチームの方に言ってくれるほど、私たちのことを頼りにしてくれています。クライアントのチームは自分で事業を立ち上げていたり、技術に精通している方だったり、自身のやり方や考え方が確立されている方々です。それなのに新しいプロセスを入れる提案をしても嫌がることはありません。きちんと向き合って寄り添ってくださり、受け入れてくれました。
今のプロジェクトでビジネスをつくりだすことの大変さを知ることができたので、私はデザインでプロジェクトの課題を洗い出し、少しでも前に進めるお手伝いをしたいと思っています。何をどうお手伝いしたらビジネスが実現するのかというプロセスは、一つひとつ異なりますので常に施行錯誤している状況です。ただどの仕事でも「ユーザーの声を正しく聞く」というUXの基本の考え方は徹底してやっています。
社内外に尊敬できる人がたくさんいる。
クライアント企業では、「これって今までに無かったですよね」と誰かが前例がないことを嘆いたとしても、「無いなら作っていこうよ」「どうせやるなら楽しんでいこう」という前向きなマインドで話される方が多くいます。『失敗してもいいからやろう』という文化が浸透しているんです。苦労していることはあると思うのですが、それを下のメンバーに見せないかっこよさがあります。私はこういう人が好きですし、自分自身が目指していきたい上に立つ人の姿です。
またお客さまは、私たちのように派遣されている社員も、垣根なく同じ社員であり、同じ目標に邁進していくメンバーとして1チームで動いていると考えてくださっています。
実際にメンバーズの社員なのに、クライアントの部署で新規事業のオーナーをしていたり、株主来社イベントの運営事務局メンバーとして活動している人もいたり、やればやるだけ還元される環境があります。
なぜ裁量が大きく与えられているのかというと、それは私たちのプロジェクトの目的が『世の中に新しいビジネスやサービスを生み出していく』というものだからです。私たちもクライアントも、もっと言えば世の中の誰もが正解が分からない状態で、どのようなアプローチをするのかを検討するところから試行錯誤しています。そのため業務領域を自分で限定することなく、やったことがない領域であっても挑戦していく姿勢がPJTを前進させるのにとても重要になるのです。
クライアントだけでなく、私の上司も「与えられた仕事の枠を超えて、自分をストレッチさせて、プロジェクトを推進していこう」という考えをメンバーに伝えています。そのため、自分の裁量で積極的に様々なことにチャレンジできる環境があると感じています。
またこんなふうにお客さまと良い関係性が築かれているのは、ずっとこのプロジェクトを担当されてきたメンバーズの先輩社員の方々が信頼を築いてきたからこそだと思いますし、その信頼が今もどんどん厚く、大きくなっていることを感じています。
子育てしてても働きやすい環境が整っている。
入社してから結婚・出産という人生の節目を経験しましたが、メンバーズはライフスタイルが変わっても働きやすい制度が整っているなと感じます。チームには子育て中の社員も多く、子供が熱を出してお迎えに行くときも「あるよねー」と共感してくれますし、上長と相談してお迎え時間を調整できるのでとても働きやすいと思います。
UXデザインの領域は変化が激しく、常に情報をキャッチアップし続ける必要があります。子育てをしながら学びの時間をとることは簡単ではありません。しかし、社内には自主的に学習しようとする人が多くいるため、学ぶことは当たり前という感覚です。私自身、育休から復帰直後でまだベースとなる知識やスキルが足りなかったときに、たくさんの本を読んだりすることで勉強しました。同僚には社会人スクールに通っている人もいます。また社内にはマイスターという、各領域のエキスパートが育成を担当する制度があります。社員が自主的に学習するだけではなく、会社からも学びの場が提供されているのです。
「このチームでビジネスを興すこと」が私の夢です。
自走できる組織をつくりたいと考えています。現在自社の私のチームではマネージャー(社内呼称はCSP/カスタマーサクセスプロデューサー)が1名・リーダー2名の体制で、メンバーがマネージャーに言えないことはリーダーに言ってもらい、共有しあうことで、風通しが良くなるチーム運営を意識しています。また勉強会や定例会などは入社2〜3年目の子に会議の目的やアジェンダも作ってもらっています。上手くいかないことがあったり、当初の目的やゴールと少し違うと感じたら、先輩・後輩関係なくチームメンバーで積極的に意見を出し合い、どんどん改善していく運営をしてくれています。「言われたとおりに動くのではなく、すべてを“自分事”として進めていける」そんなクリエイターに育っていってほしいですね。
これは私の夢なのですが、いつかこのチームで一つビジネスを立ち上げたいなと思っているんです。そのビジネスがメンバーズのものになるのか、クライアントのものになるのか、はたまた別のものになるのかは分かりませんが、チームメンバーみんな「モノをつくりたい」という思いを持っています。せっかくアイデアがあってモノをつくれる力があるのだから、世の中に役立てられるものをチームでつくっていきたいです。そのためには自分がもっとビジネス視点を養っていかないといけないなと思っています。チームのために、私も成長していきたいです。
自分達が本当に欲しいと思えて、世の中の人をハッピーにできる。そんなサービスやプロダクトをつくりたいですね。クリエイター集団でビジネスを立ち上げたら、きっと面白いと思います。
編集後記
チームメンバーみんなでお客さまのUXデザインを作り上げていきたいという想いがとても印象的でした。
共にプロジェクトを作り上げていくメンバーを信頼するからこそ、相手からも信頼される。そんな新倉さんの人間性を感じるインタビューとなりました。
取材・文/須藤 亜希子
写真/谷貝 玲